本文へ
文字サイズ変更
文字サイズを標準にする
文字サイズを拡大する
背景色変更
背景色を白色にする
背景色を黒色にする
背景色を青色にする
現在の位置

2~5ページ:特集 新春対談「地方創生 これからの天理市」

新春対談地方創生 ~これからの天理市~

 年頭にあたり、新成人代表の松本清太郎さん・橋本わかなさん・大橋基之市議会議長・並河健市長に「地方創生~これからの天理市~」についてうかがいました。司会は天理市地方創生アドバイザーの高津融男さんです。  

新しい年を迎えて

全員 新年明けましておめでとうございます。 高津アドバイザー(以下司会) 昨年は全国的に地方創生元年とも言われ、国では地方の活性化を最優先課題として位置づけてきました。  天理市においても、地域に賑わいを生む様々な取り組みがあったと思います。新しい年を迎え、本年はどのような年にしたいとお考えですか。 大橋議長(以下議長) 天理市の賑わいづくりのための色々な施策を進めている中で、国も動き始めたと感じています。  議会としても、各地域からの声を細かいところまで把握しながら、天理に合った天理独自の考え方の中で、これからの人口流出の問題、そして次世代の子ども達のためのまちづくりをしていきたい。蒔いた種の花をそろそろ咲かせていきたいと考えています。 並河市長(以下市長) 議長や高津先生にも参加していただき、昨年、地方創生の総合戦略を策定しました。持続可能な形で、住み続けたいと思っていただける街であるための施策のパッケージを盛り込んでいます。これを具体化していくことが今年は大事だと思っています。  天理市は都市の暮らしもできるし、里山の豊かさもある。この魅力を皆さんと具体的なカタチにしていきたいというのが今年の抱負です。 松本 今年、成人という節目を迎えることになりました。今までは子どもとして生きてきて、これから大人として生きていくことが怖くも感じています。楽しみながら成長できたらいいなと考えています。 橋本 20歳になり今年から社会人にもなります。分からないことだらけで不安ですが、選挙などで自分の投票が天理市の1票になるということを深く考え、少しでも社会に貢献していきたいと考えています。  

天理市の魅力

司会 私は昨年、地方創生アドバイザーとして天理市の地方創生の戦略作りをお手伝いしてきました。天理市は豊かな自然と数多くの歴史文化遺産に恵まれているだけでなく、スポーツや音楽など他市にはない多くの魅力があると感じています。  新成人のお二人は天理市についてどのようなイメージをお持ちですか。 橋本 天理高校で野球部のマネージャーをしていました。野球部には、他府県から甲子園を目指して来ている人も多く、スポーツが盛んだと思います。またブラスバンドも有名で、野球部の応援にも来てくれました。わざわざブラスバンドを見にくる人もいるくらいなので、音楽にも力を入れていると感じます。 松本 天理中学校ではラグビー部で、スクールにも通っていました。天理には褒めることと叱ることを上手に使い分ける熱意のある良い指導者が多いと感じています。 司会 生活している地域の印象や思い出はありますか。 橋本 地元が丹波市町で、八日恵美須では福娘を何度かさせていただきました。商工会が中心となって賑わいがあって、昔からの繋がりがあると感じています。 松本 地元が西長柄町で、商工会やお祭りが盛んなイメージがあります。出店者同士で交流したり一緒に神輿を担いだりして、みんな人柄がよく、世代を超えた交流があると思います。 議長 私も子ども会から始まり商工会も経験しました。高校から大学までは天理を離れたこともありましたが、天理市は落ち着いて暮らせる街だと感じます。今も子ども達とスポーツなど様々な活動をしているので、子ども達の想いは普段からよく聞いています。 市長 松本さんはラグビーをされているということで、親里ラグビー場のような施設が近くにあるというのは恵まれた環境だと思います。またハード面だけでなく、天理出身の世界レベルのスポーツ選手がたくさんおられます。  ラグビーワールドカップの直後に日本代表の立川理道選手が市内小学生のラグビークリニックに参加され、また、てんりなまつり前夜祭では、柔道家の野村忠宏さん、スポーツジャーナリストの二宮清純さんと対談を行いました。さらには柔道の大野将平選手や天理大学柔道部の穴井隆将監督など世界チャンピオンによる市内公立小学校の柔道体験が開催されています。  スポーツや音楽を通した人の繋がりやネットワークは地方都市の中でも飛び抜けていると感じます。  

天理で暮らす 天理で働く

司会 確かに私も外から見ていて、この環境は羨ましいですね。人を育てるということに関しても恵まれた環境だなと感じています。  天理市は天理高校や天理大学があり、20歳前後の人の割合が非常に多いという人口構造ですが、卒業後から30歳代にかけて、市外に出て行かれる方が多く、引き留める必要があります。総合戦略では「これからも住み続けたいまち天理」をテーマに、市外に引っ越しをされる方の数を少なくするとともに生まれる子どもの数を増やすことを目標にしています。天理で住み続けたい、子どもを産み育てたいと思ってもらうには、何が必要だと思いますか。 松本 天理市は電車の交通が不便だと思います。指導者が良いので学生が集まると思うのですが、卒業後には就職口があまりありません。就職先を求めて大阪などの都心部に出てしまい、天理市に住むのは不便なのかなと思います。 司会 昨年7月に市民2,000人と天理大学生などを対象として意識調査を行いました。やはり交通アクセスが不便だという意見が多かったです。交通の問題はすぐに解決するようなものではないですが、この問題に対してどのようにお考えですか。 市長 確かに大阪や京都に通勤通学される方にとって不便な立地であることは否めません。だからこそ、それでも住み続けたいと思える魅力を可視化し伝えることが必要です。 また、雇用については、市内での就労支援のため、市庁舎の中にハローワークの分局を設置し、市の就職相談窓口を併設する予定です。商工会などとの連携により市内の雇用情報を集約して大学などとつなぎ、また事業者様にはどんな業種が若い方々に望まれているかフィードバックします。  さらに、「働き方改革」として取り組んでいるのが、テレワークです。大阪や京都の会社に勤務しながら、遠方のオフィスに通勤しなくても市内で仕事ができる環境を、今後10年先を見据えて整えます。現在、国交省が全国5カ所で実施している実証実験を天理で行っており、本年度末には、天理本通りの空き店舗と福住幼稚園跡を活用して拠点を整備予定です。柔軟な働き方を提案していくことで、例えばお子さんの手が少し離れた子育て世代や介護で遠くに通えない方が気軽に働ける環境を作ります。市内にヒトを留める「雇用誘致」のため、引いては、このような先進的取組みを積極的に積み重ねることが、ビジネス関係者や関係官庁の視線を集め、企業や店舗を誘致する上でも重要ですし、電車ダイヤにもつながってくるでしょう。 司会 学生が卒業後市外に出て行っているという話がありましたが、新成人のお二人の周りではどのような状況ですか。 橋本 私は現在美容学校に通っていまして、将来は美容師の免許を取り、トータルビューティーの仕事をしたいと考えています。その中で就職先を考えると、天理市にはトータルビューティーの仕事がほとんど無く、橿原市や奈良市で就職活動をしているのが現実です。 松本 天理市には遊びに行くところが少ない、あとオシャレな場所がないと感じます。市内はラフな服装でも歩けてしまいますが、市外の大学に通っている友達などはオシャレな服装をしています。 司会 アンケートでは、若い世代で遊ぶところがないという意見も多かったですが、どんな施設のことだと思いますか。 橋本 映画館やボーリング、買い物は市外に出ないとできないので不便さを感じます。ただ天理駅前のイルミネーションは学校の友達の間でも知られていて、昨年も見に来てくれていました。 議長 確かに天理市というのは遊ぶところが少ないですね。昔は映画館もボーリング場もたくさんあったのですが、時代の流れで現在では無くなっています。  仕事に関しても、就職の選択枠が少ないということです。20代、30代で自分のやりたい事を考えたとき、選択枠の多い大阪などに出てしまっているのは確かです。ただ、そこでしっかり技術を身に着けた後、天理に戻り、家庭を築き、しっかり根付いていただければ、天理の人口減少も食い止めることができるのではないかと考えています。  天理は、潜在能力を秘めているにも関わらず、落ち着きすぎた街というイメージを持っています。ワールドカップが終わった後すぐに立川選手が天理市に来ておられる。居酒屋などに行っても、ふと隣を見れば金メダリストが座っている。こんな街はなかなか他にはありません。観光振興も大切ですが、もっとスポーツを推し出して、奈良県のスポーツの拠点として若者が集まりやすい街にしたいと考えています。若者が集まれば、併せていろんな職種も増えてきますので、そのような活性化を目指すまちづくりをしていきたいと思っています。 市長 オシャレをしなくていい街というのは衝撃でしたね。ただ、そういう認識は若い世代が将来天理に住み続けるかどうかの選択の時に、実は効いてきます。天理が難波のような繁華街になる必要はないと思いますが、「暮らす場」としての魅力を高めていくことが重要です。  街には、その街の持ついわば「ブランド力」があり、子育て、福祉、医療、教育環境などの行政サービスの質だけでなく、自然環境、モノづくり、お店、芸術文化活動なども含めたライフスタイルに関わるあらゆる要素がつながっています。この点、市内の産品でも他校区の方は知らない例は多いですし、議長にご指摘いただいたスポーツや芸術活動についても当事者とそれ以外で認識の落差が大きくもったいない。  駅前広場の再整備計画は、県や国との連携により、他の道路インフラの整備や、各駅の機能分化など市全体の立地構想にまでつながってきました。また、単にハードを整備するだけでなく、天理で暮らすこと・訪れることの豊かさを実現し発信できる空間として、子どもから大人、高齢者までが、遊ぶ、健康を維持する、モノをつくる・売る、演奏する、踊る、市内や近隣のスポットを巡る、歴史文化や地域の営みなどを伝える、など、具体的な機能を重視し、街全体の賑わいづくりにつなげていくために「街づくり協議会」での取組をすすめています。  また、地方創生の中で、鯖江市などの活性化を仕かけたクリエーターの服部滋樹氏が市の「ブランディング・プロデューサー」に就任しました。鯖江ではメガネが製造業の「一産品」という位置づけから、モノづくり、また街づくり全体の核になり、女性の就労や子育て環境というところまでつながっています。天理のすばらしい歴史・文化、農を含めたモノづくりなどのコンテンツを、市民の皆さまと「掛け算」していきます。 司会 今の市長のお話を聞いて、どう思いましたか。 松本 とてもおもしろいと思いました。いっぱい人が集まって活性化するといいですね。 橋本 結婚しても残りたい街になると感じました。子どもを育てるのに良い街になりそうです。 司会 総合戦略でも子育ては大きな柱ですが、大橋議長はどうお考えですか。 議長 天理市は子どもを育てるためには良い環境だと思っています。子どもに優しく、学生に優しくという施策をずっと進めてきていますので、全国より一歩先をいくような環境作りをしていきたいと考えています。具体的には保育所の数や保育料など、天理独自の魅力を作りながら働きやすい環境にしていきたいです。そうすれば20代、30代の子育て世代が、自然と天理市に集まってくるのではないかと思っています。 司会 天理市は医療の面でも充実していると思います。 議長 大きい病院も2つありますし、メディカルセンターも新設して休日診療もそこへ移して365日対応できるように進めています。病気になったとしても安心していただける街にはなってきていると思います。 市長 地域と子育て世代をつなぐことが重要です。天理市は人口が減っていますが、核家族化が進んでおり、世帯数は増えています。子育ての負担が精神的にも金銭的にも親だけにかかり、高齢者世帯の不安や不便も介護サービスでしか支えられないとなれば、市の財政が逼迫するだけでなく、出生率や健康寿命にも影響してきますし、地域の防災力や防犯力も弱まってしまいます。できるだけ多く空間を共有できる「場」を創り、世代間や業種を超えた繋がりを作っていくことが大事だと考えています。  休日応急診療所をメディカルセンターに統合することに伴い、市役所前の保健センターを改めて妊娠期から小学校まで一貫して悩みなどを相談でき、子育て世代間のネットワークをつくる拠点として再整備する予定です。  また現在、小学校は関係者以外入れない、放課後に子ども達も遊べない空間となっていますが、建て替え中の前栽小学校には、安全策を講じた上で、地域の皆さまが自由に使え、生徒と交流を深められる空間を作る計画です。学校を地域の交流拠点にする取組みは、来年度から井戸堂校区などでもモデル事業を実施します。 橋本 子育ての事業など、いろんなところでされているので、一貫して相談できる場所ができるのはありがたいですね。 市長 保育料を2人目半額、3人目無料にするなどの助成を行っていますが、子育て支援はさらに充実させたいと思います。しかし予算がかかりますので、事業を他市町村と協力して合理化し、福祉などの「暮らし」を充実させることも重要です。現在、ゴミ処理を9市町村と共同で行い、合理化したコストで子ども医療費助成を中学生まで拡大する費用に充てることなども検討しているところです。  

これからも 住み続けたい まちに向けて

司会 お話を聞いて、これから天理市が大きく変わっていくと感じました。  人口問題というのは20年、30年後の話ですぐには効果が出ないと考えられやすい。しかし、私のイメージでは30年なんてあっという間で、人口問題は切迫した問題だと感じています。10年、30年、50年後の天理市について思うものはありますか。 橋本 私は仕事が市外ですが、住むのは天理市に住み続けたいと思いますし、結婚してもできれば天理市に住みたいと思いました。 松本 知らなかった事をたくさん聞き、これからの天理市はおもしろくなりそうだと感じました。 司会 天理市は総合戦略を策定する前から街づくり協議会を開催されていて、地域の人と一緒にまちづくりをされてきました。新成人のお二人はまちづくりに関心はありますか。 松本 できるなら天理市や国に貢献したいと考えていますが、今できるのは成人式実行委員くらいです。この仕事を成功させて貢献したいと思っています。 橋本 成人式実行委員をさせていただいて、成功させたいと考えていますが、なかなか難しいと感じています。いろんな人に協力してもらって成功できるよう頑張りたいです。 議長 時間的な制約がある中で、成人式実行委員会をまとめていくことは大変だと思います。しかし、同年代の知らなかった人同士が協力し合う貴重な機会です。何か一つ参加者の記憶に残るものが作れたら十分だと思いますので、ぜひ頑張ってください。 市長 成人式は実行委員会の皆さん自身が主催することで他の参加者も他人ゴトでなく協力的な姿勢でいてくれます。まちづくりについても、行政自体が子育てやビジネスをする訳ではなく、市民の皆さまが、天理の街のコトやモノを「ジブンゴト」として捉えていただける土壌をつくるため、全力を尽くしていきます。 橋本 確かに、今は成人式実行委員会だけで作り上げようとしている感覚がありました。これからは、どれだけ周りに興味を持ってもらって、参加してもらえるかということを考えたいです。 司会 今回、実行委員会を通していろんな人と出会うことで、将来子育てや仕事のときに助け合えるような財産になっていくと思います。  最近、私が天理市の方々と交流する機会が増え、外に開いた街だと気づきました。地理的には東の三重・名古屋方面への流れも多く、四方に開いています。外から集まる人々を巻き込み、オール天理で未来を築こうとする精神を感じます。そうした魅力をどんどん発信していきたいですね。本日はありがとうございました。

お問い合わせ

秘書広報課 広報室
〒632-8555 奈良県天理市川原城町605番地 市役所2階
電話 0743-63-1001(代表)
ファックス 0743-62-2880
メールフォームによるお問い合わせ

更新日:2021年03月05日