天理市長メッセージ~天理大学学生の皆さまへの「不当な扱い」を防ぐために、皆さまのお力をお貸しください~(8月19日)

 天理大学ラグビー寮の関係者は既に全員が検査を終えられ、陽性者53名は入院または宿泊療養中です。陰性者も、大学が寮外の施設を手配され、個室での経過観察を行われています。

 

 しかし一方で、ラグビー寮生でない天理大学学生が、バイトの出勤や教育実習の停止となる残念な事例が出始めました。

 

 私は、それらの事業所様等を一方的に非難し、糾弾する意図はありません。

 ご自身のためだけでなく、他の従業員や大切なお客様、生徒の皆さんを感染リスクからの守りたい一心からの行動と推察します。

 

 しかし、具体的な感染リスクがある訳ではなく、過度の警戒によって過剰な「防御」をされることは、そのご意図に関わらず「不当な扱い」であり、社会を分断する差別を生む元です。コロナ禍の傷を、私たち自身が深めてしまうことに他なりません。

 

 8月16日付の天理市長メッセージで述べたとおり、今回のクラスターは、ラグビー部様の集団生活内で発生したものです。夏季休暇中で授業もなく(そもそも春以来オンライン授業でした)、行動履歴等から見ても、大学の学生全体に感染のリスクが広がっているとは考えられません。

 

 ラグビー部以外の学生さんについて、感染リスクが「絶対にゼロ」と私も保証できません。しかし、それは天理の町で暮らす私たち市民に関しても同じことです。レベルに違いはないでしょう。今や、日本国民で、この地球上で、リスクから完全フリーな方はいないと存じます。

 「天理大学学生」を全て一まとめにして、感染リスクが高い集団と定義づける根拠はありません。具体的根拠なく、天理大学に所属されている故のみをもって排除されているとすれば、それは「不当な扱い」であり、差別です。

 

 天理市では、今回のクラスター発生について、濃厚接触者と認定されていなくても、陽性者と一定の接触があり、感染リスクのご不安により生活に支障がある方々に対して、「天理地区PCR検査センター」での受検を手配しています。

 

 8月17日の6名(全員陰性)に続き、本日(8月19日)に検査を受けられた7名も全員が陰性結果でした。

 もし、天理大学学生への対応について、真に不安を覚えられるのであれば、その方を排除してしまうのではなく、先に「天理市新型コロナウイルス感染症対策本部(代表0743‐63‐1001)」までご連絡ください。

 ご不安を払しょくするために、全力を尽くします。

 

天理大学ラグビー部の皆さまは、天理スポーツ、天理市の宝です。今はウイルスと闘い、あるいは陰性であっても経過観察中で不安の日々を過ごしている若き天理ラグビーの勇士たちが、元気にグラウンドに戻ってきてくれるのを、楽しみにしておられる皆様が全国、世界中にたくさんいらっしゃると改めて実感しています。

 

 ラグビー寮内でのクラスター発生がきっかけになって、ラグビーと接触がなかった学友、大学関係者全般まで不当な扱いを受けたと言うことになれば、彼らはどれだけ苦しい、やるせない思いをするでしょうか。

 

 また、不当な扱いを受けたラグビー部以外の学生さんにとっては、私がその立場だとしても、納得することは困難でしょう。「陽性者に批難の目を向けるな」と言っても難しいかもしれません。どんなに度量が広い方であっても、自身が不当な扱いを受けた傷は、経済的に、社会的に、そして心にも残っていくでしょう。

 

 私たちはこの天理の町の一員として、天理で学び未来を担う学生の皆さんを、そのような境遇に置くことを許してはなりません。

 倫理面だけでなく、自身や所属する団体が感染した時に、周囲から「迷惑」と言われるリスクを避けようとみんなが行動した場合、社会経済活動は今以上に萎縮して、より深刻な影響を受けることにもなるのです。

 

 繰り返しますが、既に発生していたことについて、私は一方的に非難する考えはありません。ですが、誤解を解き、直ちに是正をお願いしたいと思います。そして、これ以上「不当な扱い」が起きないよう、衷心よりお願い申し上げます。

 

 明日(8月20日)、私は天理大学の永尾学長先生と共同で記者会見を行い、改めてこのことを、報道を通じて皆さまに呼びかけます。

 私どもの訴えが聞き入れられ、悲しむべき状況を克服し、傷つけ合いでなく支え合っていくためには、皆さまのご理解とご協力が必要です。

 どうぞお力をお貸し頂きますよう、よろしくお願い致します。

 

令和2年8月19日

天理市長 並河 健