平成29年第1回天理市議会定例会 並河市長施政方針

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平成29年度当初予算案の提案を行うに当たり、新年度における市政の展望と基本姿勢についての所信をあわせて申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。

 

平成29年度は地方創生をさらに深化させ、「支え合うマチ天理」に向けて、暮らしの豊かさと街の活性化に「繋」げる年

 私が市民の皆さまのご付託により市政をお任せいただいてから、早や3年4か月が過ぎました。

 この間、市議会、地域と行政が三位一体となった「オール天理」の取組みにより、本市の地方創生は着実に進展しつつあります。市民協働の「街づくり協議会」は、天理駅周辺地区、北部、南部、高原地区の活性化に留まらず、市全体の賑わい循環を創出しています。また、全国的な地方創生の流れの中で、県市連携や「大和まほろば広域定住自立圏」など近隣市町村との連携、天理大学や奈良県立大学等との連携など、共創と協働の広がりにより、本市行政だけでは為しえない様々な果実を生むことができました。

 平成29年度は、地方創生をさらに深化させ、地にしっかりと根を下ろしながら、これまでの果実から新たな種を次々に産み出す年。政策間連携と地域のネットワーク強化により、「共に創る」に加えて「支え合うマチ天理」の構築を目指し、実感できる暮らしの豊かさと街の活性化に「繋」げていく新たなスタートの年と位置付けています。

 

地方創生の取組

 「天理市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定にあたり、人口ビジョンから導き出した課題は、本市は若年人口の割合が高いにも関わらず、学齢後30代前半までの現役世代の流出が続くという、「現役世代の谷間」でした。これは、現役世代だけの問題でなく、教育の質を高め、持続可能な福祉を維持する上でも核となる課題です。

 「現役世代に選ばれる街であるためには?」という問いに対し唯一の「特効薬」はありません。生活スタイルや趣向が多様化する中で、子育て環境や教育、医療の充実、この街で暮らすことの魅力創造、雇用など幅広い分野の政策間連携が必要です。高齢者福祉の充実もまた、現在の高齢者のために重要であるだけでなく、将来に渡って住み慣れた街で暮らし続けられるか否か、或いは両親等の家族を支えられるか、という点は現役世代の関心事項でもあります。今後、より活躍が期待され、経済力もあるアクティブシニア等の定住移住促進という視点からも重要です。

 

 また、人口ビジョンから読み解ける課題は、世帯毎の人数が減少し、本市においても核家族化が進行し、高齢者のみの世帯または高齢者単身世帯が増加していることです。かつてのように、地域や家族間で自然に支え合える関係が残念ながら弱まっています。孤立化する中で、子育ての負担増や、災害時等に避難支援が必要な災害弱者の発生などの問題が生じています。孤立を解消し、支え合える絆、ネットワークを改めて構築することが急務と言えます。この課題に対し、我々はあらゆる政策資源を動員し、縦割りを排除して「横串」を通し、産官学金労言の様々な主体と連携しながら、限られた予算の中で、一石で二鳥どころか五鳥にも十鳥にもしてみせなければなりません。

 

 これは、単なる掛け声ではなく、私たちは、これまでにも「オール天理」の取組により、既にいくつかの道筋を付けつつあります。予算の上でも、より効率的な財政運営に向けた改革努力は必要ですが、毎年の実質収支で黒字を達成し、将来負担比率も改善を続けながら、「やりくり」しています。

 

 地方創生に掛かる国交付金を活用したプロジェクトでは、奈良労働局と連携し、ハローワークと市の就労創業支援窓口が一体となった就労支援の拠点「天理市しごとセンター」を開設し、働きながら暮らし続けられる街に向けた取組を実施しています。また、情報通信技術(ICT)を活用し、場所や時間に捉われない柔軟な働き方「テレワーク」の拠点を備えた産業振興館は、商工業者の交流や活性化に貢献しているだけではなく、既に介護離職防止や妊娠期の離職防止などの効果を実現し、先進的な事例として国の「テレワーク月間」で取り上げられ、各地からの視察も受け入れるなど「働き方改革」「一億総活躍社会」における天理のプレゼンス(存在感)を高めています。

 そして、今月(29年3月)には「子育て世代すこやか支援センター/はぐ~る」がオープンします。妊娠から出産、子育てに至る切れ目のない子育て支援「天理市版ネウボラ」の拠点として、ワンストップで相談に応じる子育てコンシェルジュや産後支援を行う産後ドゥーラによる支援を実施します。また、孤立した子育て、いわゆる「孤育て」解消のため様々な子育てサークルの交流・連携の場を提供します。ハード整備と連動した取組として、先日、電子母子手帳「はぐ~る」の運用を開始しました。スマートフォンを活用して、誕生日に合わせた健診の通知や子育てや緊急時対応などの情報の発信を行っています。

 平成29年度は、これらの三センター連携事業を発展的に展開します。例えば、「はぐ~る」において、子育て世代の精神面を含めた負担軽減を行い、徐々に余裕が生まれて就労を希望されるようになった方には「しごとセンター」が架け橋となり、また「テレワークセンター」が柔軟な働き方を紹介しつつ就労に要する教育研修を行うことで、選択肢を広げていく、という循環を構築していきます。

 

 福祉分野では、医療と介護をつなぎ、住み慣れた地域で暮らし続けるための地域包括の拠点として、「天理市メディカルセンター」がオープンして1年が経過しました。診療に加えて健診機能を強化した他、休日応急診療所を併設することで365日対応の医療機関として地域に貢献しています。また、急性期病院、回復期病院、慢性期病院をつなぎ、メディカルセンターが医療と介護事業従事者の交流の場を創出する一方で、県助成によるケア情報の共有事業を行い、医療と介護の連携強化をハードソフト両面で進めています。メディカルセンターの「地域包括ケア広場」では、連日、介護や認知症予防の講座を開催しており、今後各地のサロン事業等とも繋がれるよう、ネットワークを担う人材として介護予防リーダーを育成します。

 

 4月にオープンする天理駅前広場/コフフンは、これらの施策をつなぎ、そしてより多くの市民の皆さまに繋ぐアウトリーチの場です。子育てや福祉など様々な市の取組も、私達が活用いただきたいと考える皆さまに届いていないことが、少なくありません。多世代が集い、自由に時を過ごし、子ども達が遊ぶ、誰の眼にも触れやすい場が、政策の「ショールーム」となります。

 4月の供用開始後、スポーツや音楽などの芸術文化活動だけでなく、子育て、教育、健康づくり、福祉等の分野でご活躍頂いている多くの市民団体・グループが様々な催しやイベント等をご準備下さっています。それらの参加者、そして、ふと足を留められる皆さまに、「はぐ~る」や「しごとセンター」「テレワークセンター」「メディカルセンター」等での事業を効果的に発信し、利用者のすそ野を広げます。また参加団体が、互いを知り、連携する機会を創出することで、市内各地の活動をつなぎ、活性化することを促して参ります。

 

 また、県市連携協定のきっかけとなり、総務省の「ローカル10000プロジェクト」にも認定された天理駅前広場の再整備プロジェクトは、他地域の「街づくり協議会」をはじめとする活性化策と連動し、本市の道路アクセスの飛躍的向上をもたらしつつあります。市中心部と郡山JCTを結ぶ名阪側道の今春開通、まちづくり県市連携道路としての「九条バイパス」は都市計画変更の決定が行われました。道路アクセスには、単に交通利便性の改善だけではなく、緊急車両による救急・防災機能の向上が期待されます。また、道路は活性化と雇用創出のための、いわば骨格、血管です。沿線の土地利用や企業立地の促進、6次産業事業の整備等を県と連携して実施し、ストック効果の最大化を図ります。

 

 本市を、通勤が不便な京阪神の外縁部と位置づけるのではなく、里の豊かさと街の利便性を兼ね備えた「サトマチ」として、魅力を再発見し、本市に住まう方と、訪れる方の双方に共有していくためのブランディング事業も進んでいます。4月には、平成28年度に作成した定住移住促進のPR映像とモノづくり事業による新商品の発表を、異業種交流会開催時に天理駅前広場で実施します。合わせて、高原地区の暮らしに焦点を当てたライフスタイルブックも完成予定です。

 すばらしい地元の産品があること、歴史や教えの積み重ね、世界に誇るスポーツや文化・芸術活動が天理にあること。これらは活性化に向けたかけがえのない宝であるとともに、暮らしの質、クオリティ・オブ・ライフを高め、そして活動を通じて新たなヒトのつながり、絆を育む契機となります。かかる認識の下、平成29年度も、ブランディング事業を、奈良県の国際芸術家村構想や「第32回国民文化祭・第17回全国障害者芸術・文化祭」等と連携しながら、着実に進めて参ります。

 

 暮らしの充実と街の活性化を、私はこれまで市政の「車の両輪」と表現してきました。地方創生はこの両輪に好循環を生み出すことによってのみ達成されると考えています。「オール天理」で「共に創り」そして「共に支え合うマチ・天理」を目指す。これが、平成29年度予算案の各事業を貫く施政方針です。

 

予算の全体像

 かかる認識の下、議案第8号、平成29年度天理市一般会計予算

(案)についてご説明申し上げます。

 一般会計の予算額は、歳入歳出ともに249億4,000万円、前年度比で6億7,000万円、2.6%の減少です。

 歳入では、市税は減収になると見込んでいます。

 歳出においては、扶助費、物件費、補助費等の増加は見込まれるものの、普通建設事業費の減少により、歳出総額が減少します。

 

歳入

 まず、歳入からご説明いたします。

 市税は、市民税が個人市民税、法人市民税とも減収となる見込みです。固定資産税は新築棟数の増加により増収となり、軽自動車税、都市計画税も増収が見込まれますが、市たばこ税は、たばこ離れが進んでいること等により減収となる見込みです。市税総額は73億7,100万円となり、前年度比6,900万円、0.9%の減収となる見込みです。

 地方交付税は、基準財政収入額が減少するため55億5,500万円となり、前年度比8,700万円、1.6%の増収見込みです。

 国庫支出金は、地方創生推進交付金が増加するものの、建設工事費の減少等により36億6,800万円となり、前年度比2億1,700万円、5.6%の減少見込みです。

 市債は、天理駅前広場等整備事業債、前栽小学校整備事業債等が減少したため、17億7,700万円で、前年度比4億1,800万円、19.0%の減少となります。

 これにより、平成29年度末の一般会計の市債残高は、255億4,200万円となり、前年度に比べて6億5,800万円減少する見込みです。

 また、財政調整基金の取崩し額は、前年度に比べ7,000万円減少の7億1,000万円で、平成29年度末の財政調整基金残高は約10億7,000万円で推移するものと見込んでいますが、決算時には若干の積み増しがあるものと想定しています。

 

歳出

 次に、歳出について申し上げます。

 目的別の歳出の状況をご説明しますと、歳出全体の約40%を占めます民生費は、99億3,300万円で、前年度比5,800万円、0.6%減少しています。これは、障害者福祉及び児童福祉サービスの扶助費等は増加しますが、学童保育所建設工事費や対象児童減による子どものための教育・保育給付費等が減少するためです。

 次に、土木費は、33億6,200万円となり、前年度比7億5,500万円、18.3%の減少となっていますが、これは、天理駅前広場等整備工事の完了等によるものです。

 教育費は、24億1,700万円で、前栽小学校整備工事の完了等により、前年度比1億8,700万円、7.2%減少したほか、公債費についても26億4,400万円となり、前年度比2,800万円、1.0%減少しました。

 以上が歳入歳出の全体像でございます。

 

重点施策、主な事業

 次に、平成29年度の重点施策と主な事業についてご説明申し上げます。

 平成29年度におきましても、「天理市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げた四つの柱とそれぞれに設定した施策を重点項目としてさらに深め、事業を実施してまいります。それでは、四つの柱に基づき順次ご説明いたします。

 

1.「地域資源と新しい技術・多様な働き方を融合し、安心・充実して働ける場を創出する」

 戦略の第一の柱は、「地域資源と新しい技術・多様な働き方を融合し、安心・充実して働ける場を創出する」ことです。

 本市は京阪神都市部への通勤アクセスの条件が近隣市に比べ不便なため、現役世代の転出が多く、転出抑制と定住促進に向けて、本市で働きたい人が働くことができる場の創出が求められています。また、理想の子ども数を持てない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるという経済的理由は影響が大きく、経済的な負担軽減と現役世代が働きやすい環境づくりが課題になっています。

 天理市しごとセンターでは、子育て女性と若者の就労支援を重点化するため、就業・定着を図る相談業務・セミナーなどの支援を行います。また、創業希望者を対象に店舗づくりや創業についての基礎知識を習得するための創業支援セミナーを開催するとともに、若者や子育て世代でも起業に挑戦できるよう空き店舗を活用した創業支援を行います。市で空き店舗を借り受けて修繕し、必要な器具等を設置することで、創業者の実験店舗として提供します。また、市内事業者の後継者に関する調査をし、後継者不足の事業所をデータベース化します。創業希望者を後継者にするマッチング等に活かし、市内事業者後継問題の解決に繋げていきます。これらの市内企業情報は、「子育て世代すこやか支援センター/はぐ~る」「産業振興館/テレワークセンター」でも共有します。

 「産業振興館」では、テレワークを通じた柔軟な働き方改革を推進するために、従来の首都圏及び京阪神の企業と就労希望者のマッチングに加えて、女性と障がい者の就労促進を重視した取組を開始します。企業側の雇用ニーズを踏まえた技能習得の講習等を実施し、実際にテレワークを通じて働くことができる人材の育成と就労を一体的にサポートします。出産や介護などでキャリアを中断せずに女性が働き続けられる環境を構築します。また、テレワーク拠点に企業のサテライトオフィスを誘致するなど、テレワークの利用促進と企業のI・Uターンを支援します。

 

 6次産業立地推進事業も継続して実施します。これまでに、事業適地の選定、第1候補地での事業推進に向けた地元等への説明会や地権者の意向調査、基本構想の見直しを実施しました。平成29年度は、基本構想を踏まえて事業を実施していくための基本設計と事業計画の策定、そして、地権者と合意形成に向けた取組を進めます。

 次に、天理ブランドによるシティプロモーション、モノづくり支援などの企業支援による地域産業の振興では、市内の逸品を天理駅前「コフフンショップ」やトレイルセンター等で販売し、販路拡大のため首都圏等でも積極的なPRを行います。市内事業者の「強み」を活かし、市外のクリエイター等とも連携して新たな特産品の開発を進めます。

 県市連携による「天理マルシェ」も、天理駅前広場で毎月定期的に開催し、各種イベントとも連動して、市内農産品のより効果的な発信に努めます。農業の高付加価値化・収益性向上を図るための取組を推進するとともに、新たな担い手育成のための補助や次世代への確実な経営継承等のため農村地域における農業経営法人化等を推進します。また、中間管理機構による耕作放棄地解消に取り組むとともに、柿の葉栽培等による放棄地活用を図り、また鳥獣害対策として担い手確保のため、助成金の拡充や狩猟資格の取得助成等を行います。

 

 農商工業を活性化し、にぎわいの創造と市内消費の拡大に繋げ、産業基盤の強化と安心・充実して働ける場を創出するための好循環を生み出していきます。

 

2.「天理ならではの魅力を活かし、新しい人の流れをつくる」

 第二の柱は、「天理ならではの魅力を活かし、新しい人の流れをつくる」ことです。

 地方創生には、大都市だけに人口が集中する流れから、地域資源を活かした特有の豊かさ、付加価値を提示することで、地方への新しい人の流れを作ることが不可欠です。本市には、全国そして世界に誇る自然・歴史文化遺産やスポーツ・音楽等の様々なコンテンツがあります。これらを組み合わせながら、共感の裾野を広げ、交流人口の拡大を図り、この交流人口がもたらす経済効果を地域の農商業の発展に確実につなげることが重要です。そこから新たな雇用、ビジネスチャンスを創出する。そして、現在天理に暮らす市民の皆さまにとっても、天理で暮らすことの豊かさを再認識いただくことが、定住促進のためにも不可欠であることに留意した施策を実施します。

 

多様なニーズに対応した周遊観光の促進

 天理駅前広場にオープンする「食と旅の拠点」は地元地方銀行の資金を活用した先進的な官民共同事業として、総務省「ローカル10000プロジェクト」にも認定されました。南檜垣の味間芋、青大豆の豆乳やきな粉、和爾のまこもたけ、福住のホオズキなど、市内のすばらしい農産品も、市全体での認知度は必ずしも高くありません。奈良県民が一人当たりトマト消費量日本一で、それを支えているのが天理のトマトであることも、市内でも案外知られていません。「食と旅の拠点」や「コフフンショップ」では、天理の安心安全で豊かな農産品を使った飲食物を提供し、地産地消を推進するとともに、食べ方提案などを行います。

 

 「食と旅の拠点」内には、観光コンシェルジュを配置し、観光スポットの案内だけでなく、今何が市内で行われているのかの発信や、産地と結びつけた周遊観光の提案などを行います。

 また、天理を奈良から明日香に抜ける本県の南北の中継地と位置づけ、定住自立圏構成市町村や桜井市とも連携しながら、様々な交通手段に応じたヒトの流れを創出します。

 瀬戸内海の「しまなみ海道」等で地域の活性化に大きな成果を上げているサイクリングでは、「食と旅の拠点」にオープンする米大手自転車ブランドや雑誌等とも連携したイベントを開催し、全国のサイクリストに対して天理の認知度向上を図ります。また、今春、九条バイパス計画と並走する自転車道が開通し、市中心部と長柄運動公園が結ばれます。29年度には、奈良県広域サイクルルート(ならクル)と連動し、天理駅~芸術家村~トレイルセンターを結ぶ周遊サイクルロードを整備します。

 自動車での山の辺の道エリアへのアクセスは、これまで駐車スペースがないため非常に制限されていました。ラグビーワールドカップの誘致や県の芸術家村構想も見据え、杣之内町内に周遊観光駐車場を整備します。

 周遊観光促進とともに、健康づくり、介護予防の点でも効果が期待されるノルディックウォークを、市内グループと連携して促進し、天理駅前から北の櫟本公民館、南のトレイルセンターへとつなげていきます。

 

芸術文化、スポーツによる天理の魅力創造

 ヒトの流れを、より太く確かなものにするには、本市の歴史文化・芸術・自然・食・モノづくりなどの魅力を可視化し、総合的な発信を行うことが不可欠です。県の国際芸術家村構想も敷地内だけではなく、エリア全体として文化芸術を軸とした賑わいにつなげなければ、本市の活性化に寄与しません。

 これまで国の地方創生関連交付金を活用して実施してきたブランディング事業を発展させ、映像やホームページなどの発信媒体を一層充実させ、移住定住促進にもつながる情報発信を図ります。

 

 また、国際芸術家村構想に先立ち、天理駅前から山の辺の道沿いを結ぶエリアを「芸術ゾーン」と位置付け、天理大学付属天理図書館や天理大学付属天理参考館とも連携しつつ、芸術文化に日常的に出会える街天理を目指した計画立案等を行います。29年度は、本県で開催される「第32回国民文化祭・第17回全国障害者芸術・文化祭」の枠組みの中で、様々な芸術関連のイベントを実施します。

 「第32回国民文化祭・第17回全国障害者芸術・文化祭」では、音楽等による国際交流事業「NARA国際交流フェスティバル」が天理駅前広場で開催される予定であり、本市の魅力・強みの一つである豊かな国際性を県と共に発信していきます。

 さらに、映画を通じて天理の魅力を発信し、地域の絆づくりを行うプロジェクトとして、「なら国際映画祭」等と協働し、本市を舞台にした映画の誘致や、上映イベントの開催、「映画の力で地域を元気に!」するためのフィルムコミッション組織準備などを行います。

 スポーツでは、平成31年(2019年)のラグビーワールドカップ、平成32年(2020年)の東京オリンピック・パラリンピックのキャンプ地誘致に向けた取組を行います。その他、ビーチボールバレー等ニュースポーツを通じたスポーツ観光の促進や地域のコミュニティづくり、プロバスケットボールチーム・バンビシャス奈良等と連携した子ども達の育成やPRイベント等を、長柄運動公園や天理駅前を活用して実施します。

 

多様な定住移住促進 

 総合戦略では、就労可能な50歳代現役世代の移住を促進し、健康な高齢者が自身の経験と知識を活かして地域社会で活躍する生きがいを生み出し、地域の活性化につなげる天理市版CCRCの構築を目指しています。平成29年度は、先進都市の事例調査や本市における地域資源調査などを行い、「天理市版CCRC」の実現に向けた可能性調査を実施します。

 また、国内外の芸術家が長期間滞在しながら創作活動や地域交流できる拠点づくり「アーティストインレジデンス事業」に向けた検討、視察調査を行い、実現を目指します。

空家対策

 これらの施策を実施する上で、空き家の利活用が期待されますが、同時に、空き家対策は、防災、衛生、景観等の面で地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼす大きな社会問題への対応でもあります。空家等対策協議会を設置し、実態調査を行い、対策計画の作成、活用により、移住促進等の利活用、特定空家の認定等に繋げます。

 

三世代同居・近居住宅支援

 市内での定住促進、子育て世代を支援することを目的として、未成年の子どもを持つ世帯が、その親と同居または近居(天理市内で居住)するための住居を新築、購入、建替又は改修(リフォーム)するための費用の一部を助成します。高齢者の将来不安を軽減するとともに、子育て世代の孤立解消を図り、子育てへの多世代の積極的な関わりを促進する等、家族間での支え合いを支援します。

 

3.「子どもを産み育てたい人の希望が叶う、選ばれるまちになる」

 第三の柱は、「子どもを産み育てたい人の希望が叶う、選ばれるまちになる」ことです。

 安心して結婚・出産・子育てができる環境の充実、特色ある教育環境の充実、地域で育てる子育てを推進し、現役世代の定住移住を促進することは、本市の持続可能な発展のため不可欠です。様々な不安を感じている世代に対し、孤立解消や負担軽減のための施策を組み合わせ、支え合いによる地域社会を実現することで、子どもを産み育てたい人に選ばれるまちを目指します。

 

切れ目のない子育て支援(天理市版ネウボラ)

 「子育て世代すこやか支援センター/はぐ~る」では、前述のとおり妊娠から出産、子育てに至るまで切れ目のない一貫した支援を行う「天理市版ネウボラ」を構築していますが、これをさらに深化させ、子育て世代の孤独化を防ぐための事業を展開します。

 同センターでは、子育てに関する講座の担い手として、ファシリテータの養成や、各家庭をつなぐ民間の子育て支援団体(NPO法人)を育成・強化し、地域での多様な子育て支援を確保するとともに、子育てに関する知識の地域定着を図ります。

 また、子育て中の女性の就労をサポートする父親の育成を図るとともに、父親同士のネットワークを構築していきます。

 

子育てコンシェルジュ、産後ドゥーラ、産後ケアによる支援の充実

 「はぐ~る」では、妊娠中から子育て期までの切れ目のない包括的な総合支援を実施していくために、保健師による「子育てコンシェルジュ」を配置し、児童福祉や保健分野だけでなく就労支援などとも連携した総合支援を実施していきます。

 また、子育ての孤立化が進行している中で、育児の協力者がいない不安や悩みを持つ母親が増加しています。特に、産後2ヵ月頃までは外出の機会も少なく一人で不安を抱え込みうつ傾向になってしまうケースもあります。その対応として、子育て経験がある産後ドゥーラの認定資格者が妊産婦の子育て相談や家事・育児を支援します。そして、産後うつ等を引き起こす危険性に対しては、産後ケア事業として、産後の心身の休養を促し、その後スムーズに家事・育児ができるように、助産院等でのショートステイを実施するほか、助産師が自宅を訪問し、専門的な相談支援を実施します。

 

天理駅前広場を政策を繋ぐ空間に

 これらの施策をより多くの市民の皆さまに発信し、幅広い利用を促進するため、また子育て世代と市担当者や子育てコンシェルジュ、産後ドゥーラ等が直に接点を持ち、よりニーズに応じた施策を「はぐ~る」等で展開するため、天理駅前広場をアウトリーチの場とした、子育て・健康づくりのイベントや出前講座、読み聞かせ、ワークショップ等を実施します。また、地域で子育て世代同士や多世代での支え合いを行っているグループ・サークル間の橋渡し、活動の発信などを協働して行います。

 

「オール天理」で子ども達を育む

 次に、未来を担う子ども達を健全に育成し、子ども達自身の「ふるさと天理」への愛着を育むこと、そして安心安全で充実した教育環境を整備し子育て世代を惹きつけることは、本市の将来にとって最重要の課題です。また、学校現場が教育の主役ですが、同時に子ども達の暮らしの中では、放課後や土日、長期休暇などで充実した時間を確保することが健全な育成、学習習慣の定着の上で同様に重要であり、そのためには家庭や地域との一層の連携が不可欠です。学校、教育委員会、そして市行政だけでなく、「オール天理」で子ども達を育むことを目指し、施策を展開します。

 

子ども達一人ひとりが、個性に応じて、自分の長所を活かして学び続けられるために

 先ず、子ども達一人ひとりが、個性に応じて、自分の長所を活かして学び続けられる教育環境を目指し、スクールソーシャルワーカー巡回派遣事業を新たに実施します。いじめ、不登校、暴力行為、児童虐待などの課題に対応するため、教育分野に関する知識に加えて、社会福祉等の専門的な知識や経験をもつスクールソーシャルワーカーを市内の小・中学校に巡回派遣し、児童生徒が置かれた様々な環境へ働きかけながら、関係機関等とのネットワークを活用し、問題を抱える児童生徒への支援を行うことにより、教育相談の体制を強化します。

 スクールサポート活用事業では、特別な支援を要する児童・生徒の増加に対応するため支援スタッフを平成28年度から倍増して配置しています。個に応じたきめ細やかな指導を行うとともに、基礎学力の定着や生徒指導面の充実を継続して推進します。

 平成28年度から開始した小学校へのスクールカウンセラー巡回派遣事業では、定住自立圏共生ビジョンの一環として、学校における教育相談体制を充実するため、本市にスクールカウンセラーを配置して巡回相談を実施するとともに、山添村においても小学校等への巡回相談支援を実施します。いじめ・不登校等の要因が複雑化・低年齢化してきている中で、豊かな知識・経験を有するカウンセラーを継続して配置することにより、教育相談支援体制の充実・強化を図ります。

 不登校、ひきこもり対応では、教育総合センターを拠点としながら、学校現場との連携を強化しつつ、適応指導教室や学科指導教室の充実等を行います。また、各小中学校には、特別支援教育支援員を配置しています。その他、小・中学校でのALT (英語指導助手)招致事業を継続実施し、小学校5・6年生における英語科の教科化を見据えて、ネイティブ教師により早い段階から語学に楽しみながら親しむ環境整備に努めます。

 幼稚園では、支援を必要とする園児に対し、就学前の幼稚園の段階から、早期に様々な教育課題を克服できるよう、幼稚園教諭の補助的な役割を行う保育サポート教員を配置し、きめ細かい幼稚園教育環境の整備を進めていきます。

 また、子育て中の親子が気軽に集い、相互交流や子育ての不安・悩みを地域の身近な場所で相談できる場である「地域子育て支援拠点」を、未設置だった北部地域にも設け、市内全域で子育て支援サービスの充実、孤立解消を図ります。

放課後や土日の充実を含めた生活・学習習慣の育成

 学力テストの結果は、教育の成果や質を全て反映する唯一の指標ではなく、その正答率に必ずしも一喜一憂するものではありません。自治体によっては、学力テストの点数に特化した授業も行われていますが、その弊害等についても議論があるところです。また、公教育の意義は、点数だけでなく、人と支え合う等の人格教育全般も大切なことです。

 他方で、本市の小中学校の学力テストの結果は、全国平均は言うに及ばず、県平均と比べても歴然とした格差があり、我々は真摯にその結果を直視し、反省し、対策を講じなければなりません。それは、教育現場だけの問題ではなく、子ども達の将来の選択肢を狭めてしまう重大事であり、また現役世代に選ばれる街であるか否かという点で、市の将来、創生施策全般に深刻な影響を及ぼしかねない課題との認識を持つ必要があります。

 

 しかしながら、学力の問題を、単に学校現場の責任とすることには、問題があると考えています。多様な課題に日々必死に対応している教職員にとって、既にカリキュラムも飽和状態に近く、点数上昇に偏重した圧力は却って教育のバランスを損ないかねません。各学校の正答率が低いことは、全ての生徒の学力に問題があることを必ずしも意味しません。より詳細に結果を分析すると、帰宅後の勉強の時間がない、あるいはほぼない、学習習慣がついていない、試験の途中で、もう少し考えれば分かる可能性があるのに、解くことを諦めてしまっているという児童の割合が少なくなく、その正答率を大きく押し下げていることが分かります。

 学級の児童数が多いのでは、との指摘もあり、市行政としてもできる限りきめ細かい教育を行うための体制を取るよう努めますが、現実は、本市の小学校において平成28年度は30人以下学級は既に8割以上を占めており、児童数だけを議論することは、問題の本質に向き合う姿勢とは言えません。

 公教育の役割として、家庭や地域とも連携しつつ、生活・学習習慣をいかにして養うか、私たちは真剣に議論しなければならず、また経済事情も含めた家庭環境に関わらず、子ども達の可能性が狭められないために、私たちに何ができるか、「オール天理」で、できることから一歩ずつ着実に進めていくことが重要です。課題の深刻さは、話し合いや経過観察、局地的なモデル事業などの手法で対処できるレベルを既に超えています。具体的な行動の中から、課題に一つ一つ向い合う姿勢が求められています。

 

 先ず29年度は、基礎学力の定着と家庭での学習習慣の定着を目指して、全小中学校において放課後等の時間に、地域の教育力等も活用しながら学力補充の講習会を実施します。6時間近い授業を、家庭学習等がなく、全て消化・吸収することは、不可能でしょう。授業を理解できない生徒が一定数いる状況で、カリキュラムをこなしても、公教育としての役割を果たしているとは言えません。学習意欲、自尊心を減退させ、将来に向けて格差を拡大させていくのみです。全校での実施は、ただでさえ多忙な学校現場にとって、新たな負担と捉えられるかもしれません。しかし、学級全体の学習に向かう姿勢を整え、歯車がずれることなく、できるだけ早期に対処することは、中長期的には負担を軽減する道であると考えます。

 また、小学生を対象に、放課後に小学校の多目的教室を利用して、安全・安心な子どもの活動拠点(居場所)を設け、友達同士で一緒に遊んだり、宿題をしたり、地域の大人と交流したりして、心豊かで健やかに育まれる環境づくりのため「放課後わくわく広場事業」を継続します。現在は井戸堂小学校での部分的な実施に留まりますが、地域との連携を模索しながら、可能な限り充実を図ります。

 まだ活用できる食材なども活かしながら、子ども達の居場所づくりを行う「子ども食堂」事業なども、市内外の民間団体・グループ等と連携しながら、できる限りの実施を目指します。

 

 学童保育施設整備事業では、29年度より丹波市小学校及び山の辺小学校において、学校敷地内で、外遊びが存分に行える環境での学童保育を実施します。また、前栽学童保育所において待機児童の発生を回避するため、前栽小学校旧プレハブ校舎の一室を前栽第四学童保育所として応急措置を行いましたが、平成29年度はキッチンと洗濯設備も整備し、児童がより安全で衛生的に生活できるスペースを確保します。

 

 幼稚園においても、近年の社会情勢の変化により保護者の就労率が高まる中で、ニーズが多い子育て支援の充実に向けて、櫟本幼稚園、二階堂幼稚園、柳本幼稚園で長時間預かり保育を継続して実施し、働き続けられるための支援を行います。

 

安心・安全な教育環境の整備

 安心・安全な教育環境の整備では、老朽化が進み耐震性能も良いとは言えない北中学校及び南中学校整備事業基本計画を策定し、建替えや耐震補強、改修等の手法の中から最も効率的で合理的な整備方法を検討するとともに、最適な手法を選んで基本設計を実施します。

 また耐震性の問題から、柳本小学校に一時退避し保育を行っている柳本幼稚園は、できるだけ早期の耐震補強を目指し、工事に着手します。

 幼稚園の環境整備では、29年夏までに、全保育室での空調設備の設置を行います。また、28年度に園庭を芝生化した山の辺幼稚園では、芝生開きには草の上に座ることができなかった児童が園庭に馴染み、のびのびと外遊びや運動を行っています。芝生化は、将来の運動能力に大きな影響を及ぼす幼児期の体力向上が図れるのに加え、芝の弾力性による怪我の防止、園庭の温度上昇や砂埃の防止等の効果があります。平成29年度は、井戸堂幼稚園で実施する予定です。

 

地域で育てる教育

 学校と地域住民のつながりを深め、地域ぐるみで子どもを育てる、また、児童生徒や地域の方達に教育環境を提供しながら地域の中の居場所づくりとして利用できるようにするための先進的な取り組みが、櫟本小学校で行われています。 

 同校では、平成28年度から、長寿会と協力して学校独自で図書室の開放と見守りボランティア事業を実施し、子ども達と地域の高齢者の交流が着実に育まれています。また、未就学児童も保護者とともに、図書館に通う機会を設けることにより、学校に親しんでおり、小学校入学時のギャップ解消に向けて、成果を出しつつあります。29年度は、櫟本小学校の図書館を一層の地域交流促進に向けて環境を整備し、学校図書館を開放します。

 さらに、櫟本小学校では「櫟本小学校コミュニティ協議会」が中心となり、子ども達が地域の活動に積極的に貢献するしかけづくりも開始されました。先月のはにわ祭では、校区ウォーキングに参加した1~5年生に、6年生が地域の歴史や文化を説明する「地域貢献」を行い、そのポイントとして独自のカード「マチカ」を受け取り、櫟本公民館で実施された放課後補講に参加するという画期的取組が試験実施されました。「北部地区街づくり協議会」でも、このマチカ事業を、地域で育てる子育て、子どもの地域参加を通じた活性化の主要プロジェクトとして位置付けており、市行政も全面的な支援を惜しまない考えです。

 櫟本校区の地域主導による実践は、学校地域連携による子ども達の育成の意義を極めて具体的に、着実に示しており、他校区においても「櫟本モデル」が広がっていくことを強く期待し、市行政としても汗をかいていきます。

 

教育と地方創生の政策間連携

 教育と地方創生の政策連携事業として、平成29年度から、市内全域から就学することのできる小規模特認校制度を福住小学校で実施します。小規模特認校制度とは、学校の特色を理解し、小規模な学校で学ぶことを希望する児童が、現在の住所のまま、小規模特認校として指定された学校に入学・転入学できる制度です。これまで福住小学校では、児童生徒の英語に対する関心を高め、コミュニケーション能力の基礎を育成するため、ICTを活用した学習等を進め、準備を行ってきました。

 全国の山間部で、多くの学校が廃校に追い込まれ、あるいは危機に直面しています。しかし、一見「合理的」な選択として廃校が行われた場合、現役子育て世代の流出が加速し、地域の高齢化が一気に進むことも懸念されます。福住校区は既に高齢者人口が4割を超え、単身高齢世帯割合が3割に達していますが、人口は1500名弱の規模を有しています。この規模のコミュニティが、地域や家族間で支え合える絆を失い、福祉関連の予算に降りかかってきた場合の負担も比較考慮しなければなりません。

 「高原地区街づくり協議会」の29年度最重要プロジェクトとして、この小規模特認校制度を福住校区で実践します。きわめて短期間の告知であったにも関わらず、8名の児童が校区外から福住校区に通学することになりました。8名ですが、福住校区では29年度の児童数が本来34名となるはずでしたので、2割以上の増加、1年生については複式学級化を抑止することができました。対象児童は、いったん天理駅に集合し、路線バスと徒歩で通学する予定であり、高原地区への未来へのささやかな投資として、バス運賃について通学費助成を行います。天理駅前広場と同時に整備している南団体待合所は、この児童達が、放課後に待つことができるスペースとしても機能するでしょう。

 対象児童が、福住の新しい環境でいきいきとした学校生活を送ることができたならば、その成果を次年度以降に拡大することを図り、将来的には定住移住促進事業につなげていく考えです。校区外からの生徒だけを優遇する趣旨ではなく、福住の子どもたちの学習環境を守るため、ひいては福住校区の未来を守るため、地域の皆さまのご協力を切にお願い申し上げます。

 

子育て世代の負担軽減

 次に、子育て世代の経済的負担を軽減するため、中学生までの入院と通院について子ども医療費助成を継続し、未就学児の自己負担ゼロを維持します。また、ひとり親家庭等医療費助成、就園奨励費補助金、要保護・準要保護就学援助費補助金、特別支援教育就学奨励費補助金、遠距離通学費補助金、妊婦一般健康診査費用助成等の事業を引き続き着実に実施します。

 他方で、これらの福祉施策実施には、当然のことながら財政支出を伴います。持続可能な形で行っていくためには、活性化等により「入」を図りつつ、次なる柱である垣根を超えた連携・協働により「出」を制することが必須です。この点について、市民の皆さまの一層のご理解をお願いいたします。

 

4.「垣根を越えた連携・協働で、暮らしやすく、住み続けたいまちをつくる」

 第四の柱は、「垣根を越えた連携・協働で、暮らしやすく、住み続けたいまちをつくる」です。従来の枠や前例にとらわれることなく、広域連携・大学連携等、垣根を超えて多様な主体との連携・協働を図ることで積極的に地域の課題の解決に取り組み、子どもから高齢者まですべての市民が健康で暮らしやすく住み続けたいまちづくりを行います。

 

地域で共に元気になるネットワークの構築

 メディカルセンターで平成28年度に実施してきた介護予防や認知症予防に向けた取組と、各地の高齢者ふれあいサロンなどの取組をつなぎ合わせ、地域で共に元気になるネットワークの構築を目指します。

 その中で中核的な役割を期待するのが、「介護予防リーダー」です。地域支援事業に位置づけられた一般介護予防事業において、市民の皆様の中から養成された介護予防リーダーが、自らが講師となって介護予防教室を行える体制を創っていきます。市民の皆様自身がリーダーとなり介護予防の取組を広めることで、これまで点や線で実施されてきた取組が面的なものとなり、市民の皆様に運動習慣を定着させることによって、健康寿命の延伸を目指します。

 このネットワークの構築にあたり、健康遊具を多数配置し、200名規模の屋内イベントが開催できる天理駅前広場はハブの役割を果たします。4月のオープン時期には、天理市歌に合わせた「いちょう体操」の実施に加え、これまでメディカルセンター等で実施してきた活脳教室や、市内グループによる健康体操、ヨガ、太極拳などが「健康ウィーク」として集中的に予定されています。また、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)をチェックできる健康遊具を屋外の公共スペースに設置しており、選定にあたった天理大学体育学部と連携した健康講座も実施します。

 この健康ウィークをきっかけに、各地域、グループで行われていた取組をつなぎ、すそ野を広げる流れを次々に創りながら、担い手として介護予防リーダーの活躍の機会を拡大していくことを目指します。

 また、特定健診、肝炎検診、各種がん検診等の検診事業を実施し、メディカルセンターを拠点として検診受診率の向上を図るとともに、各種予防接種を実施し、「予防」に重点を置いた健康福祉施策を行います。

 

安心安全の街づくり

 安心安全の街づくりでは、平成28年度に自主防災組織や自治会組織のお力添えも頂き、各町の災害弱者情報の収集を行いました。現在自主防災組織、自治会、民生児童委員、消防など関係者・機関との情報共有にご同意いただいた方は1,920名にのぼり、今後、いざという時の対応のためカルテの作成に取り組みます。また、災害時の業務継続計画の策定など、利用できる人、モノ、情報に制約がある中で行政が優先的に実施すべき業務を整理し、罹災証明書などの発給も速やかに行える体制を整えていきます。

 また、地域と連携した取組として、「二階堂校区浸水対策プロジェクト」の検討事項を着実に進めていくことを目指します。これまでに、二階堂駅北口の浸水解消、二ノ坪及び三ノ坪の浸水軽減を行い、また県事業による菰池の堰堤改修や寺川貯留槽などの整備も進んできました。28年度にまとめた三ノ坪の浸水原因となる流域の調査結果をもとに、今後の対策案の検討を実施していきます。

 

誰もが、安心して暮らし続けられる街づくり

 次に、地域公共交通について、高齢者交通事故等が全国的に深刻な問題となり、75歳以上の自動車運転免許証の自主返納が勧奨されていますが、今直ちに免許証を返納いただいた場合、買い物や通院の都合上暮らしがなりたたなくなるエリアが多数市内に想定されます。安心して暮らし続けられる街であるために、今後10年と言わず5年以内にしっかりとした方向付けを行わなければ、深刻な事態を招くでしょう。

 コミュニティバス「いちょう号」運行では、定住自立圏共生ビジョンに基づく施策として、先ず川西町への乗り入れに向けた実証実験、試験運行の早期実施を目指し、近鉄橿原線との連結を図ります。今後、市町村の境界にかかわらず、またできるだけ鉄道との接続を図りながら、できるだけ小回りで運行ダイヤの利便性が高く、カバーできるエリアが拡大されたコミバス事業を目指し、路線の再編等も検討していく考えです。九条バイパスの早期開通は、この再編検討の上で、南北のアクセス向上のために極めて重要です。

 合わせて、デマンド型乗合タクシー「ぎんなん号」の認知度向上を行い、コミバスとの相互補完を強化するとともに、いわゆる「交通弱者」対策のための先進事例を参考にしつつ、あらゆる可能性を検討します。

 また、買い物弱者支援では、仮に店舗の誘致ができれば課題解決になるかもしれませんが、そもそもなぜ当該地域で店舗が閉店になり、撤退し、新たな立地がないのか、ビジネスの視点にたって冷静に考えることが必要です。移動販売との連携や、店舗への送迎、買い物手伝い、共同購入の支援等、事業者の意見も率直に聞きながら、あらゆる可能な選択肢を検討していく考えです。先ずは、「南部街づくり協議会」の主要プロジェクトとして取組みを開始し、「高原地区街づくり協議会」においても検討課題としていきます。

 これらの取組を踏まえながら、また最近の道路アクセスの改善も考慮しつつ、今後の居住誘導、医療、福祉、商業などの都市機能の誘導等を整理した「立地適正化計画」を策定し、本市らしいコンパクトシティ構想をまとめていきます。

 また、後ほど提案説明をいたしますが、本議会には次の新条例の制定を上程しております。

 一つは、天理市みんなの手話言語条例の制定についてです。「障がいを理由とする差別の解消の推進に関する法律」及び「奈良県障がいのある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例」が施行され、本市におきまして、手話を第1言語とする天理市民のろう者もろう者以外の者も互いに理解し合い社会参加を促進するため、条例案をお諮りします。

 また、天理市犯罪被害者等支援条例を制定し、犯罪に巻き込まれた被害者等の支援を総合的に推進するため、支援に関する基本理念を定め、市及び市民の皆様等の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等の支援のための施策を定めます。

 

ごみ処理広域化の着実な推進

 最後に、他市町村との協働により、持続可能な形で衛生的健康的な暮らしを守っていくための最重要課題として、「山辺・県北西部広域環境衛生組合」による新クリーンセンターの建設事業に取り組んでいきます。

 28年4月、県知事の認可を受けて、一部事務組合を設立し、4年間の環境影響評価業務を開始しました。これまでに、配慮書の公告縦覧を終え、29年度は、焼却施設及び粗大・リサイクル施設予定地周辺における、大気や水、土壌、周辺の交通環境や景観等に大きな負の影響を与えないことを、対応を含め事前に検証するための「方法書」作成に取り組みます。

 また、28年度には事務組合参加10市町村で、「山辺・県北西部広域環境衛生組合周辺地区環境整備基金」が合意され、29年度から35年度の7年間で、それぞれのゴミ排出量に応じて負担を按分し、概ね11億円を積み立てることで合意しました。櫟本校区及び山の辺校区の周辺自治会、農業関係者等による同基金活用検討のための「新ごみ処理施設周辺における地域振興等検討協議会」も発足しており、今後同協議会のご要望に真摯に対応し、組合議会の承認を得ながら、地元振興事業にも着実に取り組んでいく考えです。

 今後、具体的な施設の基本計画を策定していくにあたり、最新の技術を導入して環境負荷を極力低減した施設を計画することはもちろん、事業の進捗がある毎に周辺地域の皆さまへの丁寧な説明に努め、ご懸念の解消に全力を尽くすとともに、電力や熱源の利用可能性を含め、防災拠点機能、地域の福利厚生への貢献など総合的な視点で取り組みます。地域のご理解を得ながら、新ごみ処理施設を35年度に稼働開始させることを、私の最大の責務と肝に銘じ、不退転の覚悟をもって、成し遂げて参ります。

 以上、新年度の施政方針及び重点項目の概要を申し上げました。

 「天理市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、「共に創り、支え合うマチ天理」を目指して、「オール天理」で一丸となった取組を推進いたします。

 新年度予算へのご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。

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